比嘉眼科では今回、「ICL」というレンズを使った最新技術の導入によって「県内では、はじめて、これまで近視者が悩んでいたレーシック手術のリスクを高い安全性で解決できる眼科病院となる」との発表がありました。

詳しい内容を比嘉眼科 院長の比嘉明先生にお伺いしました。

レーシックより術後の安全性が最も高い近視矯正技術ICLを導入

比嘉眼科院長医学博士比嘉明

比嘉眼科院長 医学博士比嘉 明

ICLとはどういうものですか?

進化した屈折矯正手術

ICLとはどういうものですか?

「アイシーエル(ICL)は眼の中にレンズを埋植することで屈折異常眼を矯正するフェイキックIOL(安全性が高く近視戻りも少ない視力回復術)のことです。

インプラントで視力矯正

「ICL」は、小さなレンズを眼の中に埋植(インプラント)して近視や乱視を治療し、裸眼視力を回復させる視力矯正手術です。高精度の眼内レンズを眼の中に埋植(インプラント)することで、手術後早期からハッキリと見え、良好な視力を長く維持することが期待できます。

(1)点眼麻酔をして、角膜を約3mm切開します。

(2)切開した部分からレンズを目の中に挿入します。

(3)レンズを虹彩と水晶体の間に移植(インプラント)します。

歴史

眼の中にレンズを入れて近視を治す治療というのは世界的には1993年にロシアグループが始めて、その後にアメリカの企業が眼の中に入れるレンズを開発し、1997年にヨーロッパではじめてレンズ販売をおこない同時に治療がおこなわれました。

ですから、まだ22年の歴史しかなくて、日本に至っては2010年にレンズ(ICL)を眼の中に入れて治療することが承認されました。

今回そのレンズが改良されて、日本で『新しい技術のレンズ』が開発されたんですね、それを厚生労働省が2014年3月に使って宜しいと認可して自由診療ですけれど使っていいですよと承認が下りたんです。

「ICL」とはImplantable Collamer Lens の頭文字を繋げて作られた名称で、コラマー(CollamerR)と呼ばれる独自に開発した生体適合性の高い親水性素材から作られています。

まあ、技術的には5年前からあるのですが、ICLの「新しいレンズ」というのが重要なポイントで、レンズを眼の中に入れる過程で以前(ICL旧来型)のレンズの場合、部分的にレーザー手術を施さなければならなかったので手間がかかったんですね。

「新しいレンズ」では、眼の中の水の流れがレンズの穴を通してうまく循環できる様になったことでレーザー手術をやらなくて済み、緑内障・白内障などの合併症の発症も少なくできるという臨床データが既に出てきています」

「レンズの穴」って?眼の中の水の流れってどういうこと?

「レンズの穴」って?眼の中の水の流れってどういうこと?

眼の中は水風船みたいな状態で常に水を産生して眼球を潤し、また排出する行動を取っているのです。

これまでは眼の中にレンズを入れると水の流れをブロックしてしまい房水の循環が悪くなり、眼圧が上って、緑内障みたいな症状の出る人がいるので予めレーザーによってそうならない様な手術をするテクニックが必要でした。

ICLの「新しいレンズ」

ところが、認められた「新しいレンズ」には すでに穴があいていて、レーザーで穴をあける必要もなく、水分を通すことができ十分に眼の中の水が循環することができるようになったので、レーザー治療によって引き起こされる合併症の恐れもなくなりました。

これまでは、レーザー治療を施すさいに合併症や副作用を引き起こす恐れ、デメリットな部分がリスクとなり取組めなかったんですね。

レーシックとどう違うのでしょう?どんな利点があるのですか?

レーシック近視矯正手術と安全性のリスク

レーシック近視矯正手術と安全性のリスク

「角膜というのはある程度厚さが決まっていまして、レーシックというのはレーザーで角膜を削る度合いによって近視を矯正できるものです。

ですから、ものすごい近視の人はこれ以上 削れないというところまで削らないと調整できないため、眼鏡以外の近視矯正をしたくても危なくてレーシック手術はできなかったんですね。

第1に、 角膜を削ることによって将来的に角膜の弱い状態をつくることになりますので眼をぶつけて等のトラブルが発生したときに、眼を保護している角膜が薄くなっているため危険な損傷状態をまねきかねません。

第2に これ以上角膜を削って損傷を調整できないなど、将来おこりうる事態に対処できなくなる可能性があるためレーシックでの矯正方法がとれなかったんです。角膜は肉体の一部ですから削ってしまうと元に戻らないのです。(可逆性が無いのでリスクを伴う)

ですから、今まで強い近視の方でレーシック手術をやりたくてもできない患者さんが かなりの数でいらしたのです。

手術はどういうふうに行うのですか?

手術の流れについて

「ICLの手術は一応日帰りでできます。近視の人というのは両眼とも近視が多いので両眼共に同日に一緒におこないます。だいたい手術時間は片眼約10分~30分以内に終わってしまいますので日帰りで大丈夫です。

(1)3mmの切開創からインジェクターにて挿入します。

(2)眼内でレンズがゆっくり広がります。

(3)指示部を虹彩の後ろに挿入します。

(4)ICLレンズを毛様溝に固定します。

角膜を3.2ミリ程切開してとても柔らかいICLレンズを丸め挿入管を通し後房へ挿入させ中できれいに広げます。切開したところは自然に閉じてしまいますので心配はいりません。

術後1~2時間して検査をしますと、すでに近視が矯正されてきれいに見える様になっています。ですから、すぐに帰れて自宅で目薬を入れてもらい、翌日診察する様な流れです」

ICLのレンズってどんな素材ですか?安全なのでしょうか?

ICLレンズの素材について

「ICLのレンズはコラマーという特殊な素材でできていまして、1996年頃まではシリコンの素材を使っていましたが、1997年頃からコラマーレンズという新しい素材のレンズが開発されて以来、より眼の環境に優しい素材を使う様になっています。

コラマーレンズはHEMAとコラーゲンを含む生体適応性の高い素材で作られていて、非常に柔らかい素材なので眼の中で遺物として認識されにくく損傷を起さない優れた素材で紫外線UVカット機能も持ち合わせています。

安全性(可逆性)について

凄く柔らかい素材なので眼の中で、もし何かトラブルがあって取り出さないといけなくなった時でも、すぐ簡単に取り出すことができるので、とても安心で “元に戻すことが簡単にできる” レーシックは元に戻りませんから、この「可逆性に優れる」ことは安全性においてとても大切なことなんですね」
※【可逆性とは】ある変化を考えたとき,条件を変えるとその変化と逆の方向に変化が起こってもとの状態に戻ること。(元に戻ることができる性質のこと)

レンズは眼のどのあたりに置くのですか?

眼球図解

「眼球図解で説明しますと水晶体の前であり、瞳の後ろにわずかな袋のような後房という空間がありまして、そこにレンズを入れます。

ちなみに白内障というのは水晶体にできる症状ですが、旧レンズは水晶体にくっついてしまうと白内障を発症させてしまう可能性があったのですが、新しいレンズの「アイシーエル」(ICL)には穴があいているので後房内の水が循環するため浮いた状態となり、水晶体とレンズが接触せずに済みます。

また常に新鮮な水が循環することで健全な眼球内環境をずっと維持できるわけです」

ICLは誰でも適応できるのですか?

適応年齢

人は年齢と共に老眼になると遠くは見えても近くは見えづらくなってしまい老眼の眼鏡を掛けなくては見えなくなってします。その老眼が入る前の年代、45歳までにICLの手術をしましょう。という事で、21~45歳までを対象としております。

適応近視者

比較的近視の強い方が適応になっています。(術前等価球面度数-6.0D以上の近視)
※今のところは近視の弱い方は適用範囲外となっています。

しかし、今後は弱近視の人もICL近視矯正技術の適応を受けることができる様になって来ると思います。世界的に見ても2014年の次点で現在、170カ国で45万件もICLが使われていますので、逆にレーシクは減少傾向にありますから、ICLレンズの使用がこれからどんどん増えて行き、今後はレーシックに代わる近視矯正技術として広く普及していくと予想されますから弱い近視の方も適用になってくると思います。

適応乱視者

乱視者も矯正できます。適応乱視(術前円柱度数+1.0~+4.5D )

ただ乱視の方はレンズがオーダーメイドになるため予約してからレンズが届くまで1~2ヶ月待っていただくことに成ります。オーダーメイドですが料金は同じです。

料金はいくらかかるのでしょうか?

「ICL近視矯正手術は基本的にレーシック手術と同様に自由診療で保険が利きませんので高額に感じますが、レーシックの様に過度に角膜を削ってしまい戻らない不安や不具合が無く、一端レンズを入れても、直ぐに取り出すことのできる安全性が担保されたレーシックに代わる近視矯正治療法なので決して高くありません」

一般相場の料金

レーシック近視矯正手術両眼で30~50万円(税込)
※比較例
「ICL」近視矯正手術片眼35万円(税別)
両眼70万円(税別)

他でできない理由とは?

「新しいレンズ」を使った手術「ICL認定医」の資格取得

「皆さん驚かれるかも知れませんが、実はレーシックの手術は当初、眼科専門医でなくてもできたんです。今は変わったかも知れませんが、このICLの手術においては専門眼科医でなければできません。

更に、このICLの「新しいレンズ」を使った手術は専門の講習が有り、それを受けて得た「ICL認定医」の資格が無ければできません。

比嘉眼科クリニックはその資格を取り、県内ではじめて「新しいレンズ」を使った手術のできる病院です。

当院の特徴

当病院は、入院設備が整っていますので入院しながらでないと取り組めない重傷な眼の治療も行える専門眼科クリニックであります。

また、北部や離島など遠くから治療にいらっしゃる患者さんには一泊入院しながら治療を受けることができますのでご活用をお薦めしています。

入院病棟の案内

リスクのない安全な近視矯正治療をめざして

ICLを導入することによって、レーシック手術が心配だった方、極度の近視のために矯正治療が出来ずに悩んでいた方も安心して手術できる医者側も患者さん側も両方とも安心できる解決方法を得ることになります。

さらに、これからは、リスクが少なく、安全性を確保できる最新の近視矯正技術(ICL)が、従来のレーシック近視矯正の抱えた問題を解決し、レーシックに代わり普及していくことが予測されます。

こんな方におすすめ!

鮮やかな見え方へ

目の中にインプラントされたレンズによって近視が矯正されるため、手術後早期から良好な裸眼視力が期待できます。角膜を削らないので、ドライアイ症状を気にされている方、見え方に対する高い満足度をお求めの方におすすめです。

レーシック適応外をカバ

レーシックなどのレーザーで角膜を削ることが難しいとされてきた強度近視の方、角膜が薄い方に対してもインプラントすることが可能です。

長期安定性へ

生体適合性の高いレンズ素材で出来ているため、目の中に長い間インプラントしておくことが可能です。必要に応じて取り出すこともできる「可逆的な手術」です。

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